2012/07/13

mAAN Studies 第3回研究会案内



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日時:2012721() 15:00-17:00

※ 当日扉が閉まっている場合は、左下アドレスまでメール送信してください。

場所:稲盛財団記念館2階 セミナー室(地図はこちら)

発表者:松本 康隆(南京工業大学)

発表内容:
 近年まで伝統的なハイカルチャーに関する研究は、分厚い蓄積が存在する一方で、相対的には一国内で研究が閉じがちであった。本発表では、茶文化に関わる空間に注目し、日本と中国におけるその影響関係の一端を議論したい。具体的には、以下の事例に着目する。

 日本の茶文化空間には「抹茶室」と「煎茶室」がある。前者を支える文化である抹茶道の背景には宋の茶文化が、後者を支える文化である煎茶道の背景には明の茶文化が強い影響を与えている 。一方、中国の茶文化に関わりの深い空間を探すと、「園林」(日本の「庭園」概念に近い)が最も近い。長い時間の中で培われたそれらの文化空間の相互関係や、近代以後の人的ないし、技術的な影響関係を対象にして、大きな茶文化空間の配置図を作成してみたい。

 建築は変化し続ける文化を受け入れる器であると同時に、文化を現実世界の中に固定化する役割も持つ。「ハイカルチャー」の垣根を国境と同一のものと自明視しないような枠組みを、具体的な建築事例の連続性や影響関係の中で考察することで、東アジアの建築遺産のあり方に対する一助とできれば幸いである。